会長挨拶


第31代会長 谷 藤 大 典

畏くも天皇陛下におかせられましては、今月一日をもって御即位より五年の佳節をお迎え遊ばされましたこと大慶至極に存じ上げます。また、神宮におかれましては諸祭恙なく執り行われておりますこと慶賀に存じ上げます。

常日頃より、岩手県神社庁様をはじめ県内各神社宮司様、先輩諸兄姉並びに関係各位におかれましては、当会の活動に対しまして格別の御指導・御支援を賜っておりますこと、衷心より篤く御礼申し上げます。

早いもので、令和三年五月に第三十一代の会長を引き継いでより、任期二年をむかえることとなりました。この間、岩手県神社庁様をはじめ県内各神社宮司様、先輩諸賢より公私に亘り、御指導御鞭撻を賜り、大過なく任を全う出来ましたこと、衷心より篤く御礼を申し上げます。私自身の卒会まではまだ多少時間があるため、今後は一兵卒として会務に微力を尽くそう思っていた矢先、本年一月の臨時総会において会員一同より再びの推挙、御承認を賜り引き続き重責を担うこととなりました。あらためて、昭和二十四年の創立以来、先輩諸賢が紡いでこられた長き歴史、伝統に身が引き締まる思いであります。引き続き、会員一同と共に活動に邁進し、斯道の興隆に努めていく所存であります。

さて、あらたな令和五年度・令和六年度でありますが、新型感染症は今月をもって収束へ向けて新たな局面をむかえます。この数年、中止せざるを得なかった、事業等も多々あり実施できる喜びはあるものの、一からで無いにせよ事業を復活させる難しさと向き合うこととなるでしょう。そのことに留意しつつ、この二カ年をかけて感染爆発前の状態を取り戻してまいります。その中でも来月、本県において四十九年ぶり二回目となる全国植樹祭の開催に際し予定されている、天皇皇后両陛下の行幸啓の御奉送迎は大変に畏れ多くも、大きな喜びがございます。岩手県神社庁様・気仙支部様と連携し、御奉送迎を県民一体となり実施できるようしっかりと取り組んでまいります。また令和六年三月には、当会創立七十五周年の節目を迎えます。言うまでもなく、当会の創立は昭和二十四年三月であり、先の大東亜戦争の敗戦後、国土と国民は惨憺たる打撃をうけ、その後の占領政策により人心の荒廃も著しい最中、先輩諸賢が祖国復興と皇統護持を決意し、優れた叡智と篤い情熱を結集して創立されました。この原点に会員一同が、今一度立ち返る機会であると認識し、その上で形となる記念事業を行いたいと考えております。

昨今、「自由」・「平等」・「差別の無い」等の耳触りの良い言葉を用いて、人心を惑わし只々対立を煽る風潮が増えてきたことに誠に憂念禁じ難き思いを致します。そこには、理解や協調はおろか理想とすべき社会像も表立ってはない(敢えて示さないもしくは示せない)のです。「官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス」、誠に畏れ多いことながら、この「五箇条の御誓文」の一つこそが神道がめざすべき社会なのだと考えます。この極めて現実的且つ広大な理想実現のために、その時代ごとに先輩神道人が、如何にして不変の部分を守り(どう守るために)、そのためにどこを変えるのかという叡智の上に、今日成り立っているのであります。そのことに今一度思いを致し引き続き、会員各々研鑚を積み、常に課題・問題に対し当事者意識をもち実践につとめて、愚直に青年神職「尖兵」としての在り方と向き合ってまいりたいと思います。

(令和5年5月)

 

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